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USDGC 2005 USDGC Challenge 2005 Team JAPAN  遠征記
最終日編
Team JAPAN 選手紹介
泣いても、笑っても今日でUSDGC'05の幕は下りる。それぞれが、悔いを残さぬようラスト18ホール思い切ってプレーしてほしいと思った。優勝争いも熾烈さを極めており、トップと10打差以内には、歴代チャンピオンのケン(9位タイ)とバリー(単独3位)は勿論、デビッド・フェルドバーグ(単独2位)、クリス・スプラッグ(単独5位)、スティーブ・リコ(9位タイ)のジャパンオープンで活躍した面々、'05 PDGA ワールドチャンピオンのネーザン・ドス(単独4位)など強豪12選手が犇めき合っていた。
最終ラウンドに向け、準備体操をする渡邊君。
実広君、佐々木君の二人も朝の体をほぐしています。
誰が飛び出してもおかしくない最後の緊迫したせめぎ合いが、この後繰り広げられることになる。白井さんは、実広君のラウンドに付いて回るという。さて、巻き返しなるか。
ブラッド・ハモック
ディーン・タノック
エブリー・ジェンキンス
この日も、絵に描いたような素晴らしい青空。
午前8時、私のパーティーが第一組だ。以後、時計に従って次々にスタートを繰り返していく。8時9分に佐々木君、8時45分に渡邊君、実広君はデビッド・グリーンウェルやジム・マイヤーズといったTeam INNOVAの選手たちと同じ組で、11時丁度にそれぞれスタートしていった。

抜けるような青い空を眺める余裕があり、よい意味で力が抜けた感覚を持ちながらのプレーが続いた。前半をイーブンパーで乗り切ったが、後半ロングホールでのOBが響き72の4オーバーでフィニッシュ、後続を待った。佐々木君と渡邊君が74の5オーバーでホールアウトしてくる。実広君のホールアウトを待つ間にも、上位選手が続々とティーオフを繰り返していく。
最終組のスタートが近づくに連れて、ギャラリーも集まり出した。第3グループから、ケン・クライモ、スティーブ・リコなど4選手がトップと10打差でスタートした。続いて、クリス・スプラッグ、ケビン・マッコイ、ブライアン・シュウェバーガーなど4選手が4~9打差でスタート。有名選手が出て行くたびに、彼らのプレーに対する歓声も方々で上がり始めた。ひとつのミスが、命取りとなることを経験で熟知しているトッププレーヤーたちの研ぎ澄まされた雰囲気には、やはり圧倒されるものがある。最終組でプレーをする4選手が1番ホールのスタートエリアでその時を待っている。スコット・マーチン、デビッド・フェルドバーグ、バリー・シュルツ、ネーザン・ドス。彼らを含め、既にスタートした単独6位のケビン・マッコイまで全て1打差ずつで追随している。まさに団子状態、混戦混迷。誰にも必ずチャンスが巡ってくるはずである。しかし、それを掴み取る「実力」と「運」を持ち合わせる選手は、この中にたった一人しか居ないのだ。厳しい勝負の世界。
第2グループの1番ホール。バスケットの奥からの撮影を試みたが、気迫に圧されここまで寄るのが精一杯でした。
最終組の面々。左からスコット、バリー、ネーザン。スタート前の緊迫感が伝わってくる。
軽いストレッチをしながらスタートを待つ、デビッド・フェルドバーグ。
アンディ・グリーンが最終コールを始めると同時に、一瞬にして独特の空気感が漂い始めた。どのような心理状態で臨んでいくのか、到底量りえない。これで運命の決戦の全てがスタートを切った。
スコットの2番ホール、セカンドショット。
ネーザンのパット、5番ホールにて。
ダイナミックなデビッドのティースロー、6番ホール。
ギャラリーの大移動。
これだけのギャラリーを誘導していくのも大変な仕事です。
バリーのパット、9番ホール。バスケットは煉瓦で組まれた土台の上に立っています。平坦なホールにも、このような変化を持たせる工夫がされています。
同じく9番ホールのデビッドのパット。パー4のこのホールをバリーと共にバーディーを獲る。
やや西に傾き始めた太陽と同様、熱戦も佳境に向かって運命の矛先を定め始める。
その頃、2組前を回るケン・クライモが王者の意地を見せ付けていた。12番パー5では、3打であがりイーグルを達成。私は後方からそのセカンドショットを見ていたが、右サイドに大きく口を開けるOBエリア上空を果敢に攻めていき、明らかに狙いにいっているショットだった。ちなみに、このラウンド153名中このホールを3打(イーグル)を記録した選手は10名いた。続く13番のロングホールでは、5組が前の組のプレー終了を待っていた。
12番、ケンのイーグルパット。2打目がここまでコントロールされていることにも驚きです。
12番、クリス・スプラッグのボギーパット(6打)。
大混雑となっている13番のティーグランド・テント。
デビットは13番で勝負に出たが、痛恨のトリプルボギーをたたいてしまう。スタート2番ホールでトップに立っていたが、この時点でついにバリーに並ばれ、スコットが3打差でそれを追う展開となった。誰もがバリーの逆転を疑わなかった瞬間だ。しかし、このシナリオには次のドラマが用意されていた。15番ホール、パー4。トリプルマンダトリーが彼らの運命を揺さぶる。
優勝が決まった瞬間。
仲間と抱き合い、喜びを分かち合う。
チャンピオン・Tシャツを手にカメラポーズに応じています。
その後はこの通り、あっという間の人だかり。
バリーが勝負をかけるも、狙ったティーショットは空しく枠外へと運ばれていく。パーでこらえたデビットに対し、今度はバリーがトリプルボギーをたたいてしまった。再びデビッドがトップに立つ。3打差でバリー。スコットは14番で4打差まで離されるも、このホールをパーで切り抜け、バリーに対し1打差に迫っていた。上がり3ホールが1アンダーだったバリーに対して、スコットは3アンダーでバリーを逆転して2位に。
デビットはその後崩れず逃げ切った。18番ホールでウィニングパットを決めた瞬間ギャラリーからは歓喜の声が沸き起こった。仲間が次々と彼に駆け寄り祝福の嵐を浴びせる。新たな歴史が刻まれた。
新しいチャンピオンの誕生に沸き返る余韻も冷めぬうちに、イベントはクライマックスへと突入していく。これから始まるのは、毎回恒例となったディスタンス・コンテストのファイナルだ。大会期間中に参加希望選手による予選が行われ、表彰セレモニーの前に、こうして決勝の模様がライブパフォーマンスされる。クラブハウズ前から、なんと池に向かって投げるのである。遥か向こう岸にはポイント・ラインとディスキャッチャーがセットされ、始まりを今か今かと待っている。
クラブハウス前がディスタンス・コンテスト会場に。
遥か彼方の向こう岸。
沿道までで裕に200m超はある。アッテンポなBGMが大音量で鳴り始め、ショーがスタート。ブライアン・メイスがDJ調に会場を盛り上げる。ディスクはまるで新種の鳥のように、大きな空をどこまでも突き進んでいく。面白いように舞い飛ぶディスクは、INNOVAのニューモデル「レイス」。惜しげもなく選手たちが次々に投げ込んでいく。優勝したのはエブリー・ジェンキンス。2本の沿道越えを含み、ほとんどが池を軽々と越えていき他を圧倒した。彼はディフェンディング・チャンピオンとしてJapan Open 2006にも参戦予定だ。
観客全ての視線の先にはディスクがあります。中央にはチームジャパンの姿も見えます。
ディスクが放たれる度に口があんぐり、あまりの飛距離に半ば呆れ顔です。
白井さんは2階のテラスからじっくりと観戦していました。
日は沈み、少しずつだが空は明るさを失いかけていた。表彰セレモニーが粛々と始まる。ハロルド・デュバルが歩み出でコメントを述べる。続いて上位選手がコールされ、賞金が手渡されていく。激闘の後だけに、どの選手の表情も柔らかい。この舞台で表彰を受けることが、プレーヤーにとってどれ程名誉なことか、お分かりだろうか。技術力、経験値、強運を持ち合わせてさえいれば、誰もが一番になれるのかもしれない。
ハロルドが登場し、セレモニーが始まった。
3位タイで表彰を受ける、バリー・シュルツとケビン・マッコイ。
2位のスコット・マーチン。涙ぐみながら喜びを語った。
ディスタンス・チャンピオンのエブリー・ジェンキンスとプレゼンターのTD、ジョナサン・ポール。
しかし、ここでの名誉とは必ずしも一番に限定されてはいない。丁寧にイベントを創り上げた、造り手の意志を選手たちは感じながら、「誇り」を持ってそれに応えようとし、挑戦を遂げたからこそ、得られる感覚なのだと思う。いいイベントだ。表彰は進み、いつしか面前にはTDのジョナサン・ポールがディスタンス・チャンピオンのエブリーを表彰していた。
最後に新王者に就いたデビッド・フェルドバーグがコールされると、再び会場からは大歓声が沸き上がった。同時に後方で花火が上がる。チャンピオン・トロフィーがゆっくりとデビッドに手渡される。彼は歓声のボリュームに合わせるかのように、またもゆっくりと、頭上に掲げた。彼は自身に「誇り」を持ち、挑戦を遂げたのだろう。もはや王者の風格を湛えたその表情には、新しい時代の到来さえ予感させた。

次回はついに最終回、3/9 (木)更新予定です。
表彰セレモニー直後の模様から、帰国の途に就くチームジャパンの様子、メンバーの感想、総評などを「まとめ」としてお送りいたします。
どうぞお楽しみに!


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